生まれてから何度も接してきた「和」、どこか懐かしさやあたたかさ、心地よさを感じます。
しかし伝統的な和風建築では、現代の生活スタイルに合わなかったり、かしこまった感じを受ける事があります。そんな時、今の生活スタイルに合ったモダン空間にバランスよく和をブレンドすると和の美しさも強調され、心地いい、温もりのある建物になるかもしれません。

そこで今回は、和の要素のひとつである「格子」をご紹介します。

格子を通して入る光や風を感じると、とても穏やかな気持ちになるのは日本人だからでしょうか。
木漏れ日や木立を抜ける風の気持ちよさを知っているからかもしれません。

格子は、光や風は通したいけれど人目や防犯性が気になる時にも効果を発揮してくれます。例えば、前に高い建物があり、覗かれたくない場合は横格子を使い、左右の方向からの視線を遮るには縦格子を使います。格子のピッチを調整して見たい角度と見られたくない角度を造ります。

設計では、格子の太さやピッチを変えるだけで雰囲気が大きく変わるので、線の見え方、材料の取り合いなどの納まりを丁寧に検討します。この繊細な納まりも格子を美しく見せる大切な要素であり、設計者のセンスが問われるところでもあります。

少しの「和」を上手にブレンドして穏やかな時間の流れる空間をこれからも造っていきたいと思います。